ネクストEVの社長で、同社のフォーミュラEチームを率いたマーティン・リーチが、癌との闘病の末亡くなった。59歳だった。
リーチが最近まで社長を務めていたネクストEVは、ハイパフォーマンスの電気自動車を設計・開発する企業であり、チャイナ・レーシングをスポンサードする形で、シーズン1後半からフォーミュラEに携わった。
リーチは、このフォーミュラEチームの代表も務めていた。
同チームのネルソン・ピケJr.は、記念すべき初代フォーミュラE王者に輝いたが、各チーム独自のパワートレインを使えることになったシーズン2は苦戦。
しかし先日香港で開幕したシーズン3では、その最初のレースからピケJr.がポールポジションを獲得する速さを見せた。
このポールポジションは、チームにとっても初めてのポールポジションである。
ネルソン・ピケJr.
マーティンはこのスポーツに対して、非常に情熱的な男だった。
彼は多くの時間と労力と情熱を、このスポーツに懸けた。
僕が初めて彼と会ったのは、シーズン1の終盤、彼らがチームのスポンサーになった時だった。
彼はシーズン2でチームを引き継ぐことになった。
当時は非常に厳しい状況だったけど、彼は僕にこう語ってくれたんだ。
「ネルソン、心配しなくていい。我々は再び君が成功できるように、全力を尽くすつもりだ」と。
それが、僕がネクストEVにとどまった理由だった。
そして、僕らはかなり良好な関係を築いた。
彼はとてもポジティブだったんだ。
彼は非常に熱心に働いていた。
ギヤボックスの素材からインバータまで、起きていることのすべてを知っていた。
彼は常に働いていた。僕は彼に、昼でも夜でも、いつでも会うことができたんだ。
短い時間ではあったけど、僕は彼と働くことができて幸運だったし、非常に誇りに思っている。
香港では、彼と彼のクルマに捧げるポールポジションを獲得することができた。
そして、これまで以上に彼の遺したモノを続けていきたいと思う。
さらに、マーティンのためにより多くのレースに勝ち、チャンピオンシップを獲得したい。
マーティンのスキルとビジョンのおかげで、我々のすべての組織やスタッフが、今ここにあるんだ。
僕はマーティン・リーチと働けたことを光栄に思うし、彼を失ったことは大きな損失だ。
彼はただのチームのボスではなかった。
彼は、僕ら全員のためにそこにいたんだ。
僕はさらに進んでいけることを願っているが、今起きたことについてはとても悲しい。
そして彼の家族のことを想っている。
僕らはマーティンのために、これまで以上に働くつもりだ。