電気自動車の普及、充電器整備で「加速」を電気自動車(EV)の普及が勢いづきそうな動きである。
トヨタ自動車や日産自動車、三菱自動車、ホンダの4社が5月末、充電インフラを整備する新会社「日本充電サービス」を設立した。
走行時に二酸化炭素を排出しない「究極のエコカー」とも呼ばれてきたEVの裾野を広げる取り組みに、ライバル各社が手を携えたことを歓迎したい。
EVは、石油危機や排ガス規制など環境保護が求められる中、幾度かのブームがあったが、いずれも
「航続距離が短い」「値段が高い」などの理由で頓挫してきた。
それが今世紀に入り、技術の要である大型リチウムイオンバッテリーが登場し、実用化に拍車が掛かった。
三菱自は2009年に「アイ・ミーブ」、日産は10年に「リーフ」の販売を始めた。
欧米のメーカーなども開発に力を入れており、こぞって市場に魅力的な車種を投入してきている。
ただ、最も売れているリーフでも国内累計販売台数は6月末で4万台強。
まだ規模は小さい。
背景には、性能が向上したとはいえ、1回の充電で最大200キロ程度の航続距離やガソリン車と比べた際の割高感が指摘される。
何よりも、充電設備の少なさがもたらす不安感がある。
新会社はそうしたユーザーの懸念を和らげるのに効果を発揮するのではないか。
同社は、政府の補助金で賄いきれない充電器整備や維持費を負担し、コンビニやサービスエリアなどで設置を促すという。
急速と普通を合わせて約6千台の充電器を、年内には約1万8千台に増やす考えだ。
利用者に専用カードを配り、決済する仕組みも導入する。
神奈川に目を転じると、EV関連の企業が多数存在し、競争や連携で技術を磨いてきた。
県もいち早く後押しをしてきただけにEVは全国で最多だ。今後も一層の普及やPRに力を注いでほしい。
また、EVの基幹技術である蓄電池の可能性にも注目したい。
太陽光や風力発電による電力や、割安な夜間電力を大量に貯蔵できる。
自宅やオフィスに備えれば電力を効率的に使え、災害時にも役立とう。こうした活用法は既に、新たなまちづくりに生かされつつある。
資源の乏しいわが国にとって、エネルギーの地産地消は重要課題だ。
普及すればするほど環境負荷が小さくなるエコ技術のさらなる進化に期待したい。
【神奈川新聞】