フォーミュラE＋

【F1の表層を剥ぐ】フォーミュラEの可能性
今年の9月から始まるフォーミュラE。
このシリーズはやや唐突に始まったように思えるが、実は時間をかけて練られたプロジェクトだ。
スペインの元政治家でモータースポーツ好きなアレハンドロ・アガグがプロジェクトの創始者。
彼はフォーミュラEホールディングス（FEH）を起ち上げ、FIA、ルノー、ダラーラ（シャシー）、ウイリアムズ（バッテリー）、マクラーレン（モーター）、ミシュラン（タイヤ）等の協力を取り付けて新シリーズをキックオフさせた。
ジャン・トッドFIA会長の強力な支援を得ている点も強味だ。

電気自動車（EV）によるレースはこれまでにもあちこちの国・地域で行われたが、それらはアマチュアの域を出ず、ビジネスとしては成立しなかった。
それをアガグが世界規模のシリーズに纏め上げた。
世の中の流れを上手く読み込めた点が、新シリーズの起ち上げを後押ししたと言えるだろう。
F1ではKERSやERSといったエネルギー回生システムを採用し、WEC（LMP1）では更に一歩進んだハイブリッドシステムの搭載を義務付けた。
そうしたレース界全体を覆う環境保全、あるいはサステナビリティ（持続可能性）といった流れがフォーミュラE起ち上げにプラスになったことは言うまでもない。

ただ、当初は懐疑的な見方もあった。
本当にフォーミュラEは形になるのか？
アガグはこの質問に、「わからない。しかし、そのつもりでやっている」と答えている。
自信あっての答えに思えた。

フォーミュラEに対する懐疑的な意見は技術的な側面から多く出た。
その中心がバッテリーであったことは予想通りだ。
市販EVにおいてもバッテリーの寿命（＝走行距離）が問題視されている。
出力の高いレース用になると、現時点のバッテリーで十分な距離を走ることが出来るのか、という疑問だ。
FEHもそのことは念頭にあり、解決策として1人のドライバーに2台のクルマを用意し、レースの途中で乗り換えるアイデアを出した。
奇抜なアイデアだが、途中でクルマが止まってしまうよりいいだろう。

問題のバッテリーはウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング（WAE）が開発した。
7月3日にドニントンで行われた初めての公式テストには、シリーズに参戦する全10チームが参加したが、1日目はバッテリーの温度上昇に悩まされたチームもあった。
バッテリーの温度が上がれば出力は低下し、寿命は縮む。
ドライアイスで冷却したチームもあったという。
WAEの責任者ダグラス・キャンプリングは、「まずダラーラのシャシーに搭載出来るサイズを決め、FIAが定めた重量200Kg制限を満たした。
開発の中心は、そのサイズで十分な出力が出せることと冷却に問題がないこと。
しかし、冷却にはまだ改良の余地はある」と正直に白状する。
冷却は空冷も考えられたが、効率などを考慮して水冷にした。

テストに参加したトゥルーリGPのヤルノ・トゥルーリは、「バッテリーが熱を持つ前はとても良い感じで走ることが出来た」と、語る。
「レースでは途中でクルマを乗り換えることになるが、ゆくゆくは寿命の長いバッテリーが開発されるはずだ」。

しかし、現行のバッテリーでも面白いレースが行われることになるだろう。
それは運転の仕方次第で走行距離を延ばすことが出来るからだ。
バッテリーの冷却に十分気を遣い、エネルギー回生を巧みに使うことによって、独自の作戦を立てることもできる。
「早めにクルマを交換するか、レース終盤で交換するか、それによって順位も変わってくるはずだ。ピットでクルマを乗り換えて走るなんて、まるでル・マンみたいで楽しいじゃない」というのはアウディ・アブト・チームのルーカス・ディ・グラッシである。

ドニントンでのテスト走行のタイムは、F3よりやや遅めだった。
とはいえ、生まれたばかりのクルマで、溝付きのタイヤを履き、空力デバイスが極力抑えられたクルマであれば、最初からタイムを狙うのは無理というもの。
出力も200kW（約270馬力）でF1の1/3程度。
さらに、レースでは最初の出力を落とし、SNSで多くの支援を得たドライバーがエキストラパワーを使えるという、面白いファン参加型の試みも行われる。
テストに参加したドライバーたちも、「新しいコンセプトのレースだ。スピードばかりがレースの魅力じゃない」（バージン・レーシングのハイミ･アルグエルスアリ）と寛容だ。

ところでこのフォーミュラE、日本から鈴木亜久里率いるチームが参加する。
英保険会社アムリンのスポンサーを得て名称はアムリン・アグリ・フォーミュラEチーム。
F1時代に鈴木と一緒に働いたマーク・プレストン、ピーター・マックールがチームの主要スタッフだ。
鈴木は、「また昔の仲間と一緒に仕事ができて嬉しい。フォーミュラEは新しい時代のモータースポーツ。FEHのアガグも本腰を入れているし、FIAも支援する。ヨーロッパの自動車メーカーや企業は絶大な関心を寄せている。日本からも手を挙げる企業が出て来ることを期待する」と語る。

鈴木が言うように、この新シリーズはルノーがパワーユニット等のコントロールを行うために参加しており、BMWもオフィシャルカーとしてEVのi3やi8を提供する。
アウディはアブト・チームの後ろ盾として参戦。
将来のビジネスに繋げるために、しっかりと種を蒔いている。
彼らの活動を見て、日本企業にも先見の明が欲しいと感じた。

シーズンの開幕は9月13日。
中国・北京のオリンピック競技場跡を取り囲むコースで行われる。

AUTO SPORT web から

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フォーミュラE トゥルーリGP


ヤルノ・トゥルーリはフォーミュラEのグリッド上で唯一のF1グランプリ勝者であり、彼はさらにただ一人のチーム所有者兼ドライバーです。
新しい挑戦について、ドニントンパークの公式テストで彼に聞いた。

F1に参戦したとき、あなたがチームのオーナーになることを想像しましたか？
正直なところ、それは非常に迅速にすべてが起こった。
車をテストしたとき、私は魅了されていました。
そのとき、私にはチームを設立する機会がありました。
これは間違いなく大きなコミットメントです。
ドライバーとしてではなくチーム・オーナーとして、それは大きい挑戦です。
私は、物事をまとめるために最善を尽くします。

あなたはチームの日々の運営に、どれくらい関与していますか？
我々にはスーパー・ノヴァとの契約があるので、ジョン・シアーズは我々のためにチームを基本的に運営しています。
私の経験がチームを運営するのに明らかに有効かもしれないので、我々はチームの将来を検討して、一緒にあらゆることについての決定をします。
スーパー・ノヴァは日々の経営を担当し、そして私は彼らに100パーセントの自信があります。

今から、あなたは運転する方法が変更されますか？
そんなことは無い、まだドライバーです。
私のアプローチは変更されません。
そして、それは私の心を変えません。

F1を去った後にフォーミュラEのテストまで、あなたは何も運転しませんでした。
それは、なぜですか？
私は、どのシリーズにも惹かれていなかった。
正直に言うとフォーミュラ1への代替を見ることができなかった。
もちろんオファーはあったが、私はそれらをすべて断った。
私には興味がなかったし、車の中で私に素敵な感じを与えることができるフォーミュラ1の後に何か他のものがあるとは思わなかった。
今、人々は「なぜ電気自動車のフォーミュラを運転していますか？」と言う。
それは、フォーミュラEがモータースポーツの新しい章だと見ることができたからだ。
それは絶対にフォーミュラ1の代替ではない。
それは全く別のものだが、それは魅力的なプロジェクトだ。
私はチームのオーナーとしてその一部になりたかった。

それはテストをする前に、あなたが興味があった何かでしたか？
私はそれについてごく僅かしか知らなかったので、それは基本的に発見でした。
私はそれについて興味があった。
シリーズの一連の可能性を実現したのは私が車をテストした時だけでした。

非常に良いチームとドライバーがいます。
多くの元Ｆ１ドライバーがいるので、ドライバー・ラインアップは本当に印象的です。
それはシリーズにとっても良いことです。
良いチームも、あります。
私はアンドレッティに出会ったことを喜びます。
そして、確かにそれはドライバーとチームのための大きい挑戦でありそうです。

フォーミュラE公式サイトから一部抜粋

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イギリスのドニントン・パーク・サーキットで行われたフォーミュラEの公式テスト4日目も、元F1ドライバーのセバスチャン・ブエミ（e.ダムス）がトップタイムをマークして終えた。
通算4日目となる今回の合同テストには19台が参加した。

フォーミュラE ドニントンパーク テスト4日目

順位	ドライバー	チーム	タイム	周回
01	Ｓ．ブエミ	e.ダムス	1:31.083	44
02	L.ディ・グラッシ	アウディスポーツABT	1:31.282	54
03	J.ダンブロジオ	チャイナ	1:31.651	39
04	S.スピード	アンドレッティ	1:31.810	46
05	S.バード	ヴァージン	1:31.895	51
06	D.アブト	アウディスポーツABT	1:32.	57
07	N.プロスト	e.ダムス	1:32.080	48
08	N.ハイドフェルド	ヴェンチュリー	1:32.126	78
09	J.トゥルーリ	トゥルーリGP	1:32.479	38
10	B.セナ	マヒンドラ	1:32.506	51
11	F.モンタニー	アンドレッティ	1:32.512	50
12	J.アルグエルスアリ	ヴァージン	1:32.583	28
13	K.チャンドック	マヒンドラ	1:33.019	46
14	O.セルビア	ドラゴンレーシング	1:33.083	46
15	J.マヌエル・ロペス	チャイナ	1:33.425	46
16	M.セルッティ	トゥルーリGP	1:33.544	31
17	M.コンウェイ	ドラゴンレーシング	1:33.692	31
18	K.レッグ	アムリン・アグリ	1:33.778	17
19	F.ライマー	アムリン・アグリ	1:38.988	39

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イギリスのドニントン・パークで、3日目となるフォーミュラEのテストに18台が参加。
元F1ドライバーのセバスチャン・ブエミ（e.ダムス）がトップタイムを刻んだ。

セバスチャン・ブエミ
今日はすごく生産的なテストができた。
でも、最速タイムを刻もうと思っていたわけじゃなくて、クルマをよりよく理解することや、異なるマッピングの設定を行うことが今日の目的だった。
クルマはずっと信頼性があったし、チームもいい仕事をしてくれたよ。
頼もしいクルマに乗って、必要なときには攻めることもできるのは素晴らしいね。
まだいくつか解決すべき問題もあるけれど、全体的には生産的なセッションだったよ。

マシンを見つめるヤルノ・トゥルーリ（トゥルーリGP）


フォーミュラE ドニントンパーク テスト3日目

順位	ドライバー	チーム	タイム	周回
01	Ｓ．ブエミ	e.ダムス	1:31.910	37
02	J.ダンブロジオ	チャイナ	1:32.035	41
03	L.ディ・グラッシ	アウディスポーツABT	1:32.260	49
04	S.サラザン	ヴェンチュリー	1:32.462	32
05	J.アルグエルスアリ	ヴァージン	1:32.495	47
06	N.プロスト	e.ダムス	1:32.671	48
07	B.セナ	マヒンドラ	1:32.809	44
08	S.バード	ヴァージン	1:32.858	56
09	D.アブト	アウディスポーツABT	1:32.875	45
10	J.トゥルーリ	トゥルーリGP	1:33.165	30
11	O.セルビア	ドラゴンレーシング	1:33.844	36
12	K.チャンドック	マヒンドラ	1:34.249	51
13	M.セルッティ	トゥルーリGP	1:34.538	51
14	S.スピード	アンドレッティ	1:34.871	37
15	M.コンウェイ	ドラゴンレーシング	1:35.643	25
16	K.レッグ	アムリン・アグリ	1:35.963	42
17	F.ライマー	アムリン・アグリ	1:36.184	17
18	F.モンタニー	アンドレッティ	1:39.568	8

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How Formula E sounds - Donington tests compilation


【動画】

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リマク・コンセプト・ワン


クロアチアの電気自動車会社リマク・オートモビリ（Rimac Automobili）によって開発された1088馬力の完全EVスーパーカーのリマク・コンセプト・ワン（Concept ONE）がFIAフォーミュラEチャンピオンシップに供給されることを発表した。

アレハンドロ・アガグ
Concept Oneは現代技術の素晴らしい作品であり、我々は彼らに電気自動車や将来の可能性の真の可能性を示すために、レースイベントでフォーミュラEのファンの前にこれを紹介することを楽しみにしています。

【Concept One 動画】

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フォーミュラE ドニントンパーク テスト2日目

順位	ドライバー	チーム	タイム	周回
01	L.ディ・グラッシ	アウディスポーツABT	1:31.973	37
02	Ｓ．ブエミ	e.ダムス	1:32.089	41
03	N.ハイドフェルド	ヴェンチュリー	1:32.373	49
04	S.スピード	アンドレッティ	1:32.632	32
05	B.セナ	マヒンドラ	1:32.960	47
06	A.ガルシア	チャイナ	1:32.966	48
07	N.プロスト	e.ダムス	1:33.040	44
08	S.バード	ヴァージン	1:33.072	56
09	J.ダンブロジオ	チャイナ	1:33.178	45
10	J.トゥルーリ	トゥルーリGP	1:33.299	30
11	F.モンタニー	アンドレッティ	1:33.754	36
12	F.ライマー	アムリン・アグリ	1:33.792	51
13	S.サラザン	ヴェンチュリー	1:34.006	51
14	K.レッグ	アムリン・アグリ	1:34.071	37
15	M.セルッティ	トゥルーリGP	1:36.064	25
16	J.アルグエルスアリ	ヴァージン	1:36.962	42
17	K.チャンドック	マヒンドラ	1:37.415	17
18	O.セルビア	ドラゴンレーシング	1:43.239	8
19	M.コンウェイ	ドラゴンレーシング	1:44.698	7
20	D.アブト	アウディスポーツABT	-	-

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