フォーミュラE バーチャルレース
フォーミュラE、「バーチャル・レース並行」と「ファン・ブースト」導入を検討
F1通信から
新機軸でレーシング界に衝撃をもたらすシーズン最終戦ではポイントを2倍付与するというF1の計画は、グランプリ純粋主義者を激怒させたが、今年後半に始まる新しい電気自動車のフォーミュラEシリーズがもたらすショックにはかなわないだろう。
9月から始まる世界中の都市を舞台にした同シリーズの主催者は、最終戦が完全にバーチャルになると想像している。
さらに主催者は、ポイントを賞金を懸けて、10代のゲーマーと本物のレーサーをオンラインで対戦させることさえ検討している。
また、オンライン投票によって、レース中に短期間のパフォーマンス・ブーストを付与する「ファン・ブースト」システムを通じて、ソーシャル・メディアも一役買うかもしれない。
FIAが承認し、タイヤ・メーカーのミシュランや自動車メーカーのルノーなどが支援する同シリーズは、北京で開幕し、モナコ、ロンドン、マイアミ、ロサンゼルスなど10会場を転戦する。
マクラーレンやウィリアムズなどのF1チームは技術面で関わっているが、F1は60年以上の尊敬すべき歴史と伝統がある一方、フォーミュラEは白紙の状態で、全く違う方法でファンと関わる予定である。
フォーミュラEのアレハンドロ・アガグCEOは17日、ウェスト・ロンドンにある本部で「ふたつの計画がある。ひとつはゲーム、そしてもうひとつはソーシャル・メディアを通じたブーストボタンだ」とロイターに語った。
フォーミュラEはF1のライバルではなく補完と見なしているアガグは、タブレットとスマートフォンに焦点を合わせた第一段階として、大手ビデオゲーム・メーカーと契約を結んだと述べた。
「本当のレースに出走しているマシンに搭載したGPSを利用して、レースをすることができるだろう」
多くの人間にとって集中力持続時間は5分から10分なので、このゲームは（時間ではなく）挑戦をベースにしたものになるだろう。
本物のドライバーよりパフォーマンス的にややアドバンテージがあるファンは、レースの好きな時点と場所からスタートでき、指定された数のマシンをオーバーテイクすることが挑戦になる。
サーバー容量のため、最初は開催都市のファンしか参加できないかもしれないが、最終的には世界中のファンが参加できるようになるだろう。
バーチャル・レース同シリーズの2年目になると、コンセプトは、大きなスクリーンや3Dでレースができるゲーム・コンソールにまで拡大されるかもしれない。
さらには、並行チャンピオンシップになって、現実とバーチャルの境界がさらにあいまいになるかもしれない。
アガグは「バーチャル・レースをしたいと思っている」と語った。
つまり、本物の20人のドライバーが、例えば、その年ビデオゲームで最強だった5人の子供と一緒にシミュレータを使う。
そして最終戦はビデオゲームになる。
そのレースでは、フォーミュラEチャンピオンシップの本物のポイントが付与されるが、おそらく本物のレースよりはやや少なくなるだろう。
つまりチャンピオンシップにバーチャル・レースを導入する。
そのためのコンソールゲームが必要なので1年目は無理だろう。
しかし、そのアイデアを検討している。
F1は今年、チャンピオンシップの結果を最後までわからなくするため、アブダビでの最終戦でポイントを2倍付与すると発表したが、ファンはすぐにソーシャル・メディアでこれを批判し、レッドブルのワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルも反対意見を表明した。
フォーミュラEはそのような反応に耐えることができる。
アガグは「FIA会議のどれかに出席してみるとよい」と微笑んだ。
FIAの純粋主義者は、我々を見て「完全に狂っている」と言うが、これはとても重要なことだと思う。
我々は別物である必要がある。
F1には、レースシートに座るためにチームに持参金を持ち込む「ペイ・ドライバー」がいるが、アガグはフォーミュラEチームは、予算が200万ドル（2億858万円）に制限されているので、そのような方法に頼る必要がないと述べた。
スポンサーシップはすでに豊富にあり、同シリーズに対する関心が高まっているので、チーム・オーナーは利益をあげ、ソーシャル・メディアなど他の要素を活用することができるだろう。
ファン・ブーストTwitter（中国の場合は微博）でフォロワーが20万人いるドライバーは、レース中にその応援をファン・ブーストでトラック上のアドバンテージに変えることができる。
アガグは、そのアイデアについて、レースの1週間前に投票を行い、投票結果から短時間のパワー追加を受けられるドライバー5人をレース・スタートの1分前に発表すると説明した。
不正を予防するため、ファンは投票前に独自の番号を登録しなければならない。
あるいはアプリを使った投票になるかもしれない。
彼は「ファン・ブーストでどのくらいのエネルギーをマシンに与えるか... それからどのように機能するかを正確に確認する必要がある」と述べた。
このブーストは、防御的あるいは攻撃的行動を2回余分にとれるが、レース優勝できるほど多くはならない。
アガグは、FIAは終盤での同システムの使用を禁止するだろうと語った。
重要なのは、ファンの相互作用と結果の公平性との間のバランスを見つけることだ。
しかし、ファン・ブーストは我々のレーシング・コンセプトにとって不可欠な部分だ。
なぜなら、これは状況を根本的に変えてファンを惹きつけるからだ。
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