文:
エフソク編集部ブログから
みなさまこんにちは。F1速報編集部のタナカでございます。
昨晩遅く、北京より帰国致しました。
フォーミュラE開幕戦、いかがでしたか?
皆様テレビでご覧になりましたでしょうか?
最終ラップの最終コーナーであんなことが起きるなんて、思いもしませんでしたね。
しかし、取材をする身としましては、実に忙しい1日でありました。
朝の8時15分からフリー走行1回目が行われ、10時半からフリー走行2回目、12時から予選が4グループ分あって、16時決勝……
その間にも、フォトセッションだったり、会見だったりがあり、もちろん独自の取材と原稿執筆……いやぁ、疲れましたね。
でも、初開催の世界選手権レースに立ち会える幸せと、想像以上の迫力に興奮させられ、非常に充実した1日を送ることができました。
では、決勝日の模様を、写真と共にお伝えして参りましょう。
朝、サーキットに着いて始めに行ったのはこちら。
この大きなコンテナ、何か分かりますか?
フォーミュラEのマシンはEVですから、もちろん充電しなければなりません。
その電力を生み出すための巨大な発電機が、この中に入っているんです。
残念ながら中までは見せてくれませんでしたが、マシンやチームの機材と共に、この発電機も輸送されるんですね。
フリー走行1回目は、1コーナーで見ました。
それほど速度は速くないと思っていたのに、ホイールをロックさせて1コーナーに飛び込んでいくマシンも多数。
エンジン車と比べれば、もちろん走行音は小さいですが、それでも迫力満点の走行シーンを目撃できました。これは、結構面白いです。
45分のフリー走行で、佐藤琢磨選手が履いたタイヤです。
結構摩耗してましたね。
レース後に琢磨選手は「結構デグラデーションは大きいですよ」と語ってくれています。
これがフォーミュラEのギヤボックス。かなり小さいです。
中身を撮ろうとしたら、怒られました……。すいません。
EVですから巨大なバッテリーを積んでいます。
バッテリーは、電力を出し入れすると、発熱します。
発熱すると、エネルギー効率が落ちるわけなんですが、その対策として、走行が終わったマシンは念入りに冷やされます。
こんな大量のドライアイスを使って……。
FP1終了後に、アムリン・アグリの鈴木亜久里エグゼクティブチェアマンにお話を伺いました。
「どうなるかと思ったけど、レースも主催できるみたいだし、チームもちゃんと来ることができたし。これからようやくスタートだね」と、その想いを語ってくれました。
この模様については記事()もご覧ください。
FIAのジャン・トッド会長も北京入り。
「ディスコみたいでいいね」と語りました。どういう意味かと言うと……。
こちら、DJ-Eという人が、セッション中ずっと、クラブ系音楽を、大音量でかけていました。
先ほど申し上げたように、フォーミュラEは非常に静かですから、その分音楽で盛り上げようという試みのようです。
でも、私個人の、あくまでも個人の意見としては、しっかりとEVの音を楽しんでいただいてもいいのかなと思いました。
走行音だけでも、十分楽しめると思いますよ。
予選が終了。
左から2位ディ・グラッシ、初代ポールポジションのプロスト、3位アプト。
プロストはカメラを向けると、ちゃんと目線をくれます。
ここまでは、自信満々という感じだったのに……ねぇ。
ドライバーサイン会には、多くのお客様が列を作りました。
もちろん、佐藤琢磨選手も登場。
日本からも、急遽の参戦決定にも関わらず、多くの琢磨ファンが北京にいらしていました。
これだけ愛されるって、琢磨選手の魅力は、やはりすごいんですね。
レースは、プレスルームで観戦していました。
実は、フリー走行~予選までは、プレスルームにセッションを映すモニターがありませんでした。フリー走行にいたっては、タイミングモニターもなし……。
我々メディアとしては、ちょっと困りました……なのでフリー走行と予選は、1コーナーで観ていたのです。
決勝は無事にプレスルームのモニターが動き、走行シーンとタイミングモニターを確認できましたが……やはり問題が……。
実は走行シーンを映すモニターとライブタイミングが、1周ずれていたのです(走行シーンが1周遅かった……)。
モニターがレースのファイナルラップに入った途端、どこか遠くで“ガシャーン!”という大きな音が聞こえました(プレスルームにいると、マシンの走行音を聞き取ることはできません。それくらい静かなんです)。
何事かと思ってみていると、タイミングモニターのトップがディ・グラッシに変わり、レース終了を告げるではありませんか……正直、我々は何が起きたのか、分かりませんでした。
そして最終コーナーでのあの事故がもうひとつのモニターに映し出され……。
急いでプレスルームを飛び出したのは、言うまでもありません。
なので、急いでピットレーンに駆け付けたので、アプトの降格も、琢磨選手のファステストラップ獲得も、知ったのはずっと後のことでした。
表彰台の下(というか横)には、トップ3のマシンが止められています。
ね、3位にアプトのマシンが止まっています。
当時は当然、アプト3位を信じ切っています。
そして表彰台した。
私がいた位置からは、ディ・グラッシとモンタニーはよく見えたのですが、サム・バードの姿はまったく見えず、この時点でもアプトの降格を知りません。
ディ・グラッシ、フォーミュラEの初代ウイナーに輝きます。
彼にとっても、歴史的な瞬間ですね。
F1でもお馴染み、シャンパンボトル落としです。
しっかりとキャッチ。
メカさんも嬉しそうで、「おめでとう」と言ったら握手してくれました。
しかし、表彰台下はシャンパンの凄い匂い。酔ってしまいそうでした。
そうこうしているうちに、大破したハイドフェルドのマシンが回収されてきました。
見事なまでにバラバラです。
これでハイドフェルドに大事なかったというのは、不幸中の幸いでしょう。
プロストのマシンも上下のアームが折れ、自走は不可能だったようです。
レース後のプロスト。予選後とは表情がまるで違います。
この時、モニターでは事故のリプレイが放映されており、それを心配そうな表情で観ています。
結局、この事故の責任を問われる形となり、次戦10グリッド降格のペナルティが、課せられています。
がっくりと肩を落とすハイドフェルド。
でも、怪我がなかったからか、安堵したような表情にも見えました。
でも、最後の突っ込み、僕は素晴らしかったと思いますが、皆様いかがでしょうか?
CEOのアレハンドロ・アガグも、ハイドフェルドを慰めに訪れました。
レース後の各ドライバーの面々。
ディ・グラッシは嬉しそう。
そりゃあそうでしょう。
モンタニーも嬉しそう。
F1時代と比べて、ちょっとワイルドな感じ?
サム・バード。
この時、「あれ?」と私気付きます。「アプトが3位じゃなかったっけ?」と。
琢磨選手。
FL獲得は、琢磨選手に教えてもらいました。すいません……。
こちらは1周目でリタイアしたブルーノ・セナ。お遍路さんじゃありません。中国の傘だそうです。
ちなみに、アプトはバッテリーの使用量制限(28kw)を超えたエネルギーを使用したため、57秒のタイム加算ペナルティが課されたのでした。
このペナルティは、他にもアルグエルスアリとレッグにも課せられたということでした。
ひととおり取材を終え、プレスルームに戻っても、まだリザルトは暫定版も含めて出ていませんでした。
8時をまわっても、9時をまわっても、暫定版すら出ない。
そうこうしているウチに、「プレスルームを片付けるから、帰ってくれ」と言われる始末。
「どうなってるんだ?」と思い、フォーミュラEのプレス担当に訊いてみると、「リザルトはとっくに出た。ホームページに出てるよ」と言われてしまいます。
言われたとおりに確認してみると……やっぱり出ていない。
もう一度問い合わせてみると、「ホントだ。ちょっと待て、今メールで送ってやる」ということで、公式リザルトをようやく手にすることができました。
現地時間で9時過ぎのことでありました。
インターネットが繋がらなかったり、リザルトが出なかったり、まぁ色々とあったフォーミュラEの初戦でありましたが、本当に良い経験をさせてもらいました。
確かに課題はたくさんあるでしょう。
でも、今後フォーミュラEがますます発展し、人気カテゴリーに成長することを、願わずにはいられません。
すごく可能性を感じました。また、取材に来たいと思います。
日本へ向かう飛行機の窓から、非常に綺麗な夕焼けが見えました。
PR