ベガスのeレースはeスポーツ史上最高賞金だったというだけでなく、フォーミュラEのデジタル戦略の鍵となる道しるべとなった。
シムレーサーのボノ・ハイスは20人のフォーミュラEドライバーと9人のシムレーシングのスターを抑え、優勝した。でもパソコンはそこで終了。
というのも次なる指標の発表があったからだ。
メキシコ人F1レーサーのエステバン・グティエレスが今シーズンのフォーミュラEに参戦することになった。
フォーミュラEだけでなく、全世界的に一般電気自動車の世界でも面白い時期になっている。
そのあたりを含めフォーミュラEのCEO、アレハンドロ・アガグにインタビューした。
ベガスeレースに関してどう思いましたか?ベガスのイベントは素晴らしい出来でした。
私たちは誰もやったことのないことをやりたかったんです。
チームは全てを上手くイベントに盛り込み、素晴らしい仕事をしたと思います。
技術的な不具合もありましたが、このようなイベントの習得曲線上ではよくあることです。
参加してくれたドライバー全てにとても感謝しています。
特に、ルーカス・ディ・グラッシ、ミッチ・エバンス、ジェローム・ダンブロシオの3人はレースのスタートができなかったのにもかかわらず、寛大に技術的不具合を受け入れてくれて、本当に感謝しています。
新しい事にトライしなければ何も前に進まないと思います。
今回の全てがやったことがないことに挑戦する、という事でした。
多くのことを学びましたし、今後のeスポーツ戦略の基礎となりました。
ベガスはフォーミュラEのeゲームの明るい道の始まりです。
eゲームに関しての今後の計画は?2つの方向で考えています。
1つはより大きなマーケットのためにモバイル・テクノロジーを使う事。
結果はリアル・レーシング3でも出ており、ダウンロード数はかなりすごいことになっています。
何百ものユニークユーザーがフォーミュラEカーをドライビングしています。
2つ目は、本格的なプロのシムレーシングです。
これは素晴らしいポテンシャルがあると分かりました。
マーケットは少し小さくなるかもしれませんが、リーグをやる事で素晴らしい結果がでると思います。
両方の道で探っていこうと思っています。
ベガス規模のeレースをまた開催しますか?勿論。何がいい点か、悪い点か、を見ているところです。
このような大きなイベントをやるよりも、小さなイベントを多くやった方がいいかもしれないです。
eレース中のCESでのツイッターの動向でCESを上回っていた、という事実が全てだと思います。
CESのような世界規模の見本市でやるという事は凄く重要だと思います。
またやるかもしれませんが、今は全てを解析して、最善の戦略を決めるつもりです。
重要な学習は何でしたか?沢山あります。そして経験を積む必要があると思います。
関連する技術的な要素は全てテストする必要があります。
今、それをやっているところです。
イベントは我々にとって初めての事でしたが、重要な学びとなったのは技術面で違った方向で見ることによって、ソフトを開発できますし、レースのやり方もプロデュースできるという事です。
また、本物のレースドライバーとシムドライバーがどう競えるのか見るのは興味深いことでした。
フェリックス・ローゼンクヴィストがプロのシムドライバーと競って2位になったのは注目に値します。
実際、フォーミュラEドライバーの年齢が下がってきていて、でもスキルは上がっているというのはとても面白いと思いました。
ニック・ハイドフェルドが僕のところに来て、「これ難しいよ」って言っていたのを覚えています。
ビデオゲームでは年齢とスキルの間に明確な相関があります。
今シーズン、グテイエレスが参戦することに関してどう思いますか?選手権にとって素晴らしいニュースだと思います。
エステバンのことは随分前から知っています。
エステバンがGP2にいた時に私もいました。
勿論、彼は素晴らしいドライバーです。
若いドライバーですが、キャリアも長く、F1のキャリアの後にフォーミュラEを選んでいます。
彼の年齢ではまだとても明るい未来があると思います。
地元のスターが参戦するメキシコ大会は凄い事になると思いますし、ファンも彼を応援するでしょう。
彼の予定はいつ決まりますか?エステバンの今シーズンは習得期間となるでしょう。
今シーズンはすでに2レース終わっていますし、選手権の優勝を目指すシーズンではないでしょうが、習得のシーズンになると思います。
メキシコ大会とニューヨーク大会で彼は走ります。
他の選手権と予定が被っているレースがいくつかありますから、シートが空くレースがあるので、そこでレースして慣れていく感じですね。
シーズン4では、ちゃんとしたレースドライブになると思います。
選手権の優勝争いに加わる選手の一人になるでしょう。
シーズン5の新しいクルマとバッテリーに関して、いつ具体的な詳細が出ますか?クルマやシャーシについて最終決定するFIAと協議中です。
もうすぐ出ると思います。
シャーシのデザインも近いうちに発表できたらいいと思っています。
バッテリー技術に関しては順調です。
でも、FIAがフォローアップしている所です。
バッテリーのテストが行われて、セルもテストしました。
シーズン5用の最初のクルマは、10か月後には走れると思います。
デザインは近いうちにお見せしたいと思います。
技術開発計画では現在どのあたりにいるのでしょうか?最近のFIAとの協議で3つの段階になっている10年計画が出ました。
最初の段階は4シーズン、次に3シーズン、そして3シーズンです。
この10年は、シャーシは全チーム共通で、パワートレインは自由、バッテリーは恐らくこの最初の10シーズンは、スペックは同じになるでしょう。
しかし第3段階はまだオープンです。FIAとはフロントとリアのパワートレインに関してとても興味深い可能性を協議中で、FIAは10年計画を近いうちに発表すると思います。
OEMにとっては技術的に長期の安定した計画が重要になります。
多くのOEMが選手権に入ってきて、もっと増えると思いますし、明確な長期計画はコスト削減にも役立ちます。
マニュファクチャラーにとってコストを実際に押し上げるのは『時間』だと思います。
パワートレインを開発する時間が短いとなると、コストは急激に上がります。
リードタイムが長くなれば開発もより良くなりますから、それをFIAとやろうとしています。
持続可能性はフォーミュラEの鍵になる部分ですし、コスト管理に関しても同様です。
その期間の技術が適正である事をどのようにみるのですか? 私たちがすることはプラットホームに集結するということです。
しかし、これらを可能にするのは本当にチームとマニュファクチャラーなのです。
私たちはFIAを手伝っている、あるいはルールに自分たちの考えを出しているだけで、本当にFIAが技術のガイドラインを出しているんです。
それでシステムを把握するのはチームなのです。
勿論、レースの技術を自動車技術に転換していく方法はそれぞれ違いますし、老舗のメーカと新しいスタートアップEV企業と色々です。
もしかすると技術転換はこっちからあっちへというのでも違うかもしれません。
もしかするとファラデイフューチャーのようなスタートアップ企業の方が転換は早いかもしれません。
選手権は長いブレイク中ですが、シーズン4のカレンダーはどんな感じですか?ブレイクに関してはずっと良くなります。
長すぎますからね。来シーズンは恐らく開幕戦を遅くすると思います。
冬の期間中、1月、2月3月にもっとレースをしたいと思っています。
これらの期間で他の選手権が開催されていない日にカレンダーを埋める必要があります。
来シーズンはいい感じになるでしょう。
また開催都市も現在やり取りをしていますので、違った選択肢もあると思います。
世界モータースポーツ評議会(WMSC)に3月に提案できればいいと思っています。
モータースポーツ・ネットワークが最近フォーミュラEの株を取得しましたが、選手権にとってどのような意味がありますか?選手権にとって素晴らしいニュースだと思います。
モータースポーツ・ネットワークファミリー、素晴らしい友人であるザック・ブラウンそしてマイク・ゾーイを本当に歓迎しています。
特にザック・ブラウンのモータースポーツでの経験とビジョンは、フォーミュラEプロジェクトに多くのことをもたらしてくれると思います。
株主として彼らを迎える事は非常に大きな強みとなります。
フォーミュラEの株主リストはどんどん強化されていると思います。
そして、アジアからの新しい強力な株主の発表を近いうちにできると思います。
これはフォーミュラEが成長しているということですし、強くなり続けているのです。
残りの今シーズンはどうなると思いますか?すごくエキサイティングだと思いますよ。
ブエミが既に2勝しています。
彼は本当に強いスタートを切りました。
けれど他の選手権とレースが重なっているところでどうなるか分かりません。
多分ブエミはいくつかのレースを欠場することになるでしょう。
ですからトップをキープするために、今、彼はポイントをすごく稼ごうとしています。
今シーズンは面白くなると思います。
レースが重なっている事に関してはあまり心配していません。
新しいドライバーが入って来る事はいい事ですし、ちょっと悪巧みも加わると面白くなりますね。
テレビ朝日公式HPから