今週末に行われる、フォーミュラEの第6戦ロングビーチePrix。
前回のマイアミePrixは、“ようやく”e.ダムス・ルノーのニコラス・プロストが初優勝を果たした。
このマイアミePrixは、それまでのレースと異なり、セーフティカーの出動が一切無いレースだった。
そのため、チームはこれまで以上にエネルギーマネジメントを慎重に行わねばならなかった。
それでも、激しい争いは変わらず、フォーミュラEの面白さを改めて実感できたレースだったと言えよう。
テレビ朝日のフォーミュラE中継で解説を務める片山右京が、第5戦マイアミの振り返りそして第6戦の展望を語った。
オートスポーツwebから
またもセーフティカー出動なし?第5戦のマイアミは(フォーミュラEで)初めてアクシデントがなく、セーフティカーが入らないレースになりました。
おかげで戦略的なエネルギーのマネージメントや、ドライバーのエコドライブ技術などが、レースに大きな影響を与えることがよく分かるレースになりました。
幅の広いコースで、セーフティカーが入らないレースでは何をしなければならないか……ということを、チームもドライバーも、認識したレースだだったと思います。
そういう意味では、マイアミは大きな節目のレース、そしてレベルの高いレースのひとつだったと思います。
第6戦ロングビーチのコースは、フォーミュラEの特性に合わせて(インディカーと比べて1周の)距離が短い。
ただ、マイアミ同様コース幅はワイドです。
つまり、マイアミと同じようにセーフティカーの入らない、ノーアクシデントのレースになることが予想されます。
その中でキーポイントとなりそうなのがコーナーです。
マイアミは直角コーナーが多かったのですが、ロングビーチはコーナー数が減り、なおかつ直角ではない。
むしろアクセルを踏んでいけるようなコーナーが多いです。
例えば、ターン7のヘアピンは、次の直線でのスピード差につながる。
つまり、走り方によってはタイムをロスする可能性もあるし、オーバーテイクにつながる可能性もある。
どちらにも転がりやすい、ミスをしやすいコーナーでもあるんです。
そのターン7にアプローチするターン6というロングコーナーも、エネルギーの回生が重要性になってくる。
間違ったエネルギーマネジメントをすると、順位が入れ替わるようなポイントにもなり得ると思います。
求められる“セッティング能力”このターン6は高速コーナーなので、ライン取りやセッティングによってスピード差が出てきます。
フォーミュラEの場合にはタイムが絶対に接近してくるので、その中でのコンマ1秒とか、コンマ2秒という差は、順位を大きく左右します。
ここはすごく重要でしょうね。
ターン1のシケインへの飛び込みは、オーバーテイクのポイントになります。
そこからのターン3、ターン4は直角ではないですが直角に近い。
直線ではスリップ(ストリーム)も効くし、ターン5のブレーキングポイントがオーバーテイクのポイントになります。
コースが短くても、オーバーテイクのチャンスは多くなるでしょう。
(後続のマシンを)ブロックするためにはどこか大切かなど、エンジニアがドライバーに対してちゃんと指示しているとは思います。
これまでとは違う顔を持つサーキットが舞台なので、どういうレースになるのか、想像すると面白いですね。
第4戦ブエノスアイレスで優勝したアムリン・アグリのアントニオ・ダ・コスタは、ハンドリングが決まらなかっただけで、マイアミでは後方に沈んでしまった。
それだけセッティングが大事になってくるということです。
アムリン・アグリにはちゃんとセッティングしてもらって、また良い結果を出して欲しい。
今度は日の丸が上がって、君が代が聞けるといいですね。フォーミュラEでもジャパンパワーが見たいですから。
腕次第でいきなりヒーローに!ドライバーに関しては、マイアミで2位に入ったスコット・スピード(アンドレッティ)のように、ドライビングスタイルが向いていればいきなりヒーローになれるんです。
他のカテゴリーではお金がなければ参入できないといったことを考えると、(フォーミュラEなら)世界で自分をアピールできるチャンスは多い。
(小林)可夢偉にしても語学力があるのだから、チャンスがあれば使ってくれと、積極的に自分をアピールして欲しいですね。それもひとつのジャパンパワー。必ずしも技術的なものだけではなく、そういう部分でも日本の存在感をアピールして欲しいです。
小林可夢偉(スーパーフォーミュラ)
今回のロングビーチが終われば、いよいよヨーロッパラウンドです。
もっともっとレースも成熟するし、チャンピオンシップが大詰めになれば話題になり注目度も高くなる。
モナコにしても、ロシアにしても、ロンドンにしても、色々な意味で盛り上がってきます。
そういう意味ではフォーミュラEをどんどん知ってほしいと思いますね。